病気や加齢などによって身体の一部が本来の機能を失ってしまう、もしくはその能力が著しく低下してしまった場合にご自身の細胞を用いて組織を修復し再生させる治療を再生医療と言います。
従来の治療は対症療法と言って、失われた機能を元に戻すのではなく、病気によって生じた様々な症状1つ1つに対してお薬を使用する、場合によっては外科的な治療を行ってきました。
再生医療は欠損・損傷した臓器を再建させることで、疾病や損傷を根治させることが可能となるかも知れません。
(出所:多能性幹細胞安全情報サイトより)
当山美容形成外科では第二種再生医療等提供計画番号を取得しています。幹細胞をもちいる再生医療は、厚生労働省が認めた特定認定再生医療等委員会でその治療の医師の要件・安全性・妥当性が厳しく審査されます。そこで適切と認められれば厚生労働省に治療計画を提出することができ、はじめて治療を行うことが可能となります。当山美容形成外科は正式なプロセスを踏み厚生労働省に第二種再生医療等提供計画を提出し、計画番号を取得した医療施設です。
※本治療には組織や細胞の輸送を必要とします。輸送後の組織や細胞が合格基準に満たない場合、治療は中止あるいはやり直しとなる場合があります。詳しくは医師より説明致します。
私たちのからだは、約60兆個の細胞からできており、その始まりは、1個の受精卵です。受精卵が細胞分裂(増殖)によって「胚」になり、さらに細胞分裂を繰り返して多種多様な細胞に成長し、皮膚や脳、心臓といった組織や臓器がつくられます。このように、細胞が様々な組織や臓器に変化することを「分化」と言います。
一方、細胞には寿命があり、多くの細胞は分化すると増殖することができなくなり、やがて死んでいきます。例えば、肌をこすって垢が出るのは、皮膚の死んだ細胞が剥がれ落ちるからですが、その下にすでに新しい皮膚があるのは、組織の中には、新しい細胞を補充する役目をもつ未分化な細胞があるからです。完全に分化し、皮膚や血液のように組織や臓器となった細胞は「体細胞」、これからいろいろな組織や臓器になれる未分化な細胞は「幹細胞」と呼ばれています。
現在、再生医療では、この「幹細胞」や「体細胞」を利用して、ケガや病気で損傷した部分に移植して組織の再生を促し、根本的な治癒を目指す「細胞移植治療」が行われています。
再生医療で注目されている幹細胞は大きく3種類
現在、私たちが再生医療として受けることができる、もしくは将来その可能性がある幹細胞は、大きく3種類あります。それは、もともと私たちのからだの中に存在している「体性幹細胞」と、胚(受精卵)から培養してつくられる「ES細胞」、人工的に作製される「iPS細胞」、です。
「ES細胞」と「iPS細胞」は、「体性幹細胞」と違い、様々な組織や臓器に分化する能力を持つ万能細胞です。「ES細胞」のほうが先に開発されましたが、「ES細胞」は受精卵が胎児になる途中の胚の中にある細胞を採り出して培養し、作製するため倫理的な問題があります。
それに対して「iPS細胞」は、成熟した体細胞にいくつかの遺伝子を入れて人工的に未分化な状態に逆戻りさせた幹細胞です。「ES細胞」と同等の能力がある上に、倫理的な問題を解決したことで注目され、2012年には「iPS細胞」を発明した京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞しました。
「iPS細胞」は、2014年に世界で始めて、実際の患者さんへの臨床研究として、網膜色素上皮細胞の移植手術が行われ、実用化への期待が高まっています。将来的には、腎臓や心臓といった臓器を丸ごとつくり出すこともできるのではないかと、大きな期待が寄せられており、根治が難しい病気を中心とした細胞移植治療の研究が進められています。一方で、「iPS細胞」は、万能細胞であるために、意図しない細胞に分化するリスクや、ガン化するリスクも高いため、同時にこれらの課題を解決するための研究も進められています。
この大きく3種類の幹細胞の中で、最も医療への応用が進んでいるのは「体性幹細胞」です。人間の体の中にもともとある細胞を使うため、治療に応用しやすい特徴があります。
ES細胞(胚性幹細胞) | 体性幹細胞 | iPS細胞(人工多能性幹細胞) | |
---|---|---|---|
由来 | 胚(受精卵が細胞分裂したもの)からつくられる | 体の中に存在する | 体細胞に遺伝子導入してつくられる |
倫理上の問題 | × | ○ | △ |
特徴 | 分化能、増殖能が高い(万能) | 分化能はあるが、万能ではない | 分化能、増殖能が高い(万能) |
臨床上の課題 | 腫瘍化やガン化のおそれあり | 増殖能は限定的 | 腫瘍化やガン化のおそれあり |
「体性幹細胞」には、いくつか種類があり、その代表的なものに「間葉系幹細胞」があります。「間葉系幹細胞」は、骨、軟骨、脂肪細胞などいくつかの異なった組織や臓器に分化する能力があります。現在「間葉系幹細胞」は脂肪に最も多く含まれていることが様々な研究で分かっており、脂肪から取り出した「間葉系幹細胞」を培養し様々な病気の治療に用いることが出来るようになってきました。
当山美容形成外科では患者様から米粒2個程度の脂肪と血液を採取し、特殊な技術で5000万〜1億個程度まで患者様の幹細胞を増やします。その増やした幹細胞を様々な疾患の治療に使用することが可能です。
ではどうして自分の幹細胞を使用することで治療が可能なのでしょうか?幹細胞には「homing(ホーミング)」と言われる特殊な能力があると言われています。これは細胞自体が自分の身体の傷んだ部分を察知してそこに集積する能力のことです。損傷部位へ集まった幹細胞はその部位の細胞へ分化します。軟骨がすり減っている場所へ集積した幹細胞は軟骨へ、脳細胞が損傷している場所へ集積した細胞は脳細胞へ、毛母細胞が減っている場所へ集積したら毛母細胞へ高い確率で分化してくれます。
皮膚は加齢とともに老化します。皮膚のターンオーバーが悪くなりシミやくすみが生じます。また紫外線の影響で皮膚のコラーゲンが減少し肌本来の弾力が失われ、目尻や眉間、おでこに表情シワが刻み込まれます。これらの症状は全て細胞の老化によるものです。これらの症状を改善するために様々な治療方法があります。ほうれい線の凹みに対してヒアルロン酸を注入したり、表情ジワに対してボトックスを注入したり、シワやたるみに対しては手術や各種レーザーを用いることも可能です。しかしこれらはすでに出てきた症状を少しでも良くする事が目的の治療であって、老化して機能を失ってしまった細胞を取り戻す治療ではありません。当院の再生医療ではあなた自身の細胞を使う事で加齢とともに衰えてしまった細胞を再生し肌本来の美しさを取り戻す事が出来るかもしれません。
現在日本には1000万〜3000万人程度の人がひざや肘などの関節の痛みに悩まされていると言われています。その理由の多くが関節にある軟骨の減少が原因です。これまで軟骨はタイヤと一緒で、使う事ですり減ってしまい再生することはないと考えられてきました。しかし最近の研究によって軟骨自体に幹細胞がいて本来はすり減った分だけ軟骨自身を再生していると言う事が分かってきました。若くて細胞自体が元気な状態であればどんどん自分自身の軟骨を再生するのですが、加齢とともに細胞の機能が衰えてくることで軟骨を再生する事が出来なくなります。関節においては軟骨が再生出来なくなりその厚みが失われると骨同士が互いにぶつかり合うことで痛みを生じます。その状態がどんどん進んでくると骨の一部が損傷され関節自体が深刻なダメージを受けます。当院の再生医療ではひざ関節に5000万〜1億個程度の幹細胞を移植します。移植した幹細胞がひざ関節にとどまることで軟骨が再生され本来の関節の動きを取り戻す事が可能です。
脳梗塞後遺症に対して点滴による幹細胞治療を受ける事が可能です。脳へ行く血管の一部に何らかの障害が生じることによって死に至る脳血管障害は、現在日本人の死因第3位です。発症から数時間以内に必要な治療を行えば一命を取り留める事が可能です。現在各自治体や各病院の医療連携によりその治療成績は格段にアップしています。しかし残念ながら脳血管障害の発症後大事には至らなかったものの、重篤な合併症に悩まされている人は数多くいらっしゃいます。
この様な『脳血管障害の中で最も多い脳梗塞後の後遺症』に対し当山美容形成外科では幹細胞を用いた点滴治療を受けていただく事が可能です。点滴を介し血液中に入ったご自身の幹細胞が全身にくまなく供給されます。そして幹細胞の特殊な能力であるホーミング作用(※)により死滅した脳細胞や機能の衰えた筋肉などの組織へ幹細胞が集積し組織の修復を促進します。
日本においては脳梗塞後遺症を始め脊髄損傷、ALSといった有効な治療法が見つかっていない難病に対して幹細胞を用いた治療が行われ、その有用性について数多くの報告がされています。脳梗塞の後遺症に対しては現在リハビリ以外に有効な治療法は無いので多くの患者様やそのご家族がお悩みです。是非一度当院での治療を検討されてみてはいかがでしょうか。
お悩みやご希望を伺い、再生医療や施術内容について医師より説明いたします。
治療が決まりましたら、細胞培養に必要な脂肪の採取と、血液採取を行ないます。脂肪採取は約10分程で終了します。へその中に約5mm皮膚を切開し、米粒1〜2個ほどの脂肪を採取します。術後の傷はほとんど目立たず、痛みもほぼありません。また抜糸の必要もありません。次に、細胞を培養する為に必要な血液を採取します。採血は約10分程で終了します。
採取した脂肪や血液は、培養加工施設であるアヴェニューセルクリニック(東京都港区)に輸送して細胞の培養を行ないます。培養期間はおよそ1ヵ月となり、脂肪採取日から1ヵ月後以降の日程で投与日をご予約ください。なお、原則として投与日が確定した後(ご予約後)の変更は承れません。
確定投与日にお越し頂き、目的とする部位に注射を行ないます。投与は約45分程で終了します。予約時間に最善の状態で提供できるようにアヴェニューセルクリニックから輸送し用意いたします。
投与部位が赤くなったり腫れたりすることがありますが、ほとんどの場合は数時間~数日で消失します。当日の注意点:長風呂や過激な運動はお控えください。
※本治療には組織や細胞の輸送を必要とします。輸送後の組織や細胞が合格基準に満たない場合治療は中止あるいはやり直しとなる場合があります。詳しくは医師より説明致します。