はじめにワキガ(腋窩多汗症)


  沖縄県で多い症状・疾患に多毛やシミ・ホクロなどがありますが、もうひとつの「ワキガ」も加えねばなりません。「ワキガ」はご存知の如く、わきの下の汗や臭いを総称するのですが、年頃の女性にとって大変嫌な思いをするもので、日常、わきの下に市販の制汗剤を使用するのが、若い女子のエチケットになっているほどです。
 沖縄県は暑い地方なので、当然、汗をかく頻度が多いのですが、汗をかく度合が続く事によって汗腺の穴が大きく広がっているのが特徴的です。
 その上、わき毛も毛深い人が多く、汗をかいた後、湿気や熱気がこもりやすい条件となります。さらに食事が油っこい物を食べると云う習慣が県内にはあり、わきの下も油性の肌となりやすく、あかのたまる状態は雑菌繁殖の地となり、右記の図の如く強い臭いを発して参ります。それ故沖縄県の女性は他県の方に比し、「ワキガ」で悩まれる事が多くなる訳です。実は女性だけでなく昨今では男性も当医院では手術を受けられる方が増えております。女性5対男性1位の割合でしょうか、このページにはこのような「ワキガ」で悩まれている方々の為に手術法を主体にし原因・治療を載せておきます。ワキガでお悩みの方が御参照下されば治療に対するひとつの目安になるものと考えております。
 

         


 ワキガは、ホルモンの影響を受けるものですから、女性ホルモンの発生が強力になる時期に臭う事があります。乳房の発育とも関係するその頃の時期、つまり、中学、高校生の臭いは成長に伴うものです。しばらくすると消褪する可能性がありますので経過観察が必要かと思っております。神経質な子供は手術を受ける場合があるのですが、その様な方は出来るだけ小さい傷跡から手術しなければなりませんので、超音波吸引法による手術を当院ではすすめております。

 「ワキガ」・「腋窩多汗症」の源・汗腺とは何か

 ワキガと腋窩多汗症(ワキの汗)の手術は略々同様です。ワキガの手術は汗の源を切除すれば良いのですが、汗の線には@アポクリン腺、Aエクリン腺と二つの腺があり、また毛根部の途中に位置するB皮脂腺さらには毛根を切除しなければなりません。

  1. アポクリン腺
    硬い毛の部分に沢山存在し、毛穴の近くで汗を出します。このアポクリン腺が臭いを出す一番の原因と云われております。アポクリン腺はすぐ乾いてしまいますが、次に述べますあまり乾かないエクリン腺の影響を受けて臭いを持続させます。特にアポクリン腺の色素は下着などを黄ばませ、汚れる元になります。

  2. エクリン腺
    興奮したり、緊張したりする時、出るのがこのエクリン腺で手のひらなどに冷や汗をかくと云う汗です。ほとんどが水分で占められているとされますが、少し塩分を含み、しょっぱい感じを出します。乾きにくい特徴があり、数が多いものですから、アポクリン腺を補完する型でワキガ発生を助けるとされています。

  3. 皮脂腺
    皮脂腺は毛の構造のひとつとされており、濃い毛に水々しさやうるおいを出す役目があります。この行いは人間にとっても良い役目なのですが、皮脂腺分泌物は時として脂肪酸などを発生しこれが、臭いの一部とされる場合もありますので、手術で除去されねばならない訳です。
  4. わきの毛
    @、A、B迄が手術の際除去の目的となりますが、同時にわきの毛も少し除去の対象となります。毛深い状態は部分的にワキガ発生の手助けをするからです。また皮膚の下では、アポクリン腺などと同じレベルに位置しておりますので、わきの毛全部をとるのではなく、1/3〜2/3位迄とり除きます。男性の場合は毛がないと困ると云う方もおりますので、比較的少なく、女性の場合は出来るだけ取り除きます。

 


 先に述べた汗腺(アポクリン腺・エクリン腺)と皮脂腺、毛根を除去するのが、「ワキガ」の手術です。欧米では切開法を中心にします。この切開法は皮膚を大きく切開して皮膚の裏側に存在する汗腺等をハサミなどで除去する方法です。当院でもワキガの範囲が広い方や男性の方などにはこの切開法にて手術する場合があります。
 然しながら、日本人の場合は中学生や高校生或いは若い女性が手術対象になる場合も多く、傷痕を沢山つけるのを躊躇する事もあります。その為小さい切開腺から吸引、ローラー(稲葉氏法)、鋭匙(エ化)などで汗腺を除去する方法が考え出されてきました。当院ではこれ迄思考錯誤の中から超音波吸引法を使用する事によって小さい傷痕ですばやく手術可能となった新しい術式を施しております。

1)超音波吸引法とハサミによる掻爬

超音波吸引法による操作

その後ハサミの剪除法

当院独自の術後の圧迫法(枕木法)

術後2回目圧迫を除去

枕木法の特徴 腋窩の運動が可能

2)切開法(剪除法)

皮膚を広く切開して、反転、汗腺をもれなくハサミで切除する方法です。皮膚を切開す。皮膚を切開する図式によって色々なデザインが考えられております。(図参照)

  • 手術費用 : 262,500円
  • 術後処置料 : 735円 (1回) (軟膏:1,050円)
  • 手術時間(手術は予約制です) 約1時間30分
  • 術後の入浴は指示があるまでは胸より下の下半身浴にして下さい。
    ※指示が出るまでわきは濡らさないで下さい。(個人差あり)
  • 術後4日間は毎日通院のつもりでいて下さい。
  • 圧迫が取れた後より軟膏治療になります。
    (軟膏治療は自宅でも行ないます)
  • 手術当日より10日間は前あきの大きめのブラウスを着用して下さい。
  • 1週間以内に抜糸します。完全に落ち着くのは2〜3ヶ月後位です。
  • 切開法の場合は術後約4〜5cm前後の傷がつきます。どちらも当院独自の圧迫療法で固定しますので血腫を予防します。
  • 当日より3〜4日間は車を運転する事は出来ません。
  • 薬品等に対してアレルギー体質的、異常のある方は、前もって申し出て下さい。(生理日も手術可能です)
  • 手術の傷跡を小さくしたい場合は超音波法が宜しいと
    思います。
    ※わき毛の範囲が狭い場合・18才以上の女子など
  • 効果は切開法、超音波法共に8〜9割位臭いは取れます。




3)超音波吸引法

 小さい傷痕から確実な方法はないものかと考案されたのが、この超音波を用いるやり方です。超音波の物理的な衝撃によって組織(汗腺など)を破壊し、同時に破壊された組織を吸引してしまいます。ボールペンの3〜4倍位の太いハンドピースを1〜2cmの傷痕からわきの皮下に挿入して超音波領域の周波数を振動させます。手術時間も片側20分程度(両側40分)で済みますし、術後の状態も切開法より比較的楽になります。出血も押さえられますので術後の合併症が少なくなります。



超音波手術器
「ソノペット」
  • 手術費用 : 262,500円 (税込み)
  • 術後処置料 : 735円(1回) (軟膏 : 1,050円)
  • 手術時間 (手術は予約制です) 1時間以内
  • 術後の入浴は指示があるまでは胸より下の下半身浴にして下さい。
    ※指示が出るまではわきは濡らさないで下さい(個人差あります)
  • 術後4日間は毎日通院のつもりでいて下さい。圧迫時は私生活が不便になります。
    (当院の圧迫は当院独自のオリジナリティーがあります)
  • 圧迫が取れた後より軟膏治療になります。(軟膏治療は自宅でも行ないます)
  • 手術当日より通院期間は前あきの大きめのブラウスを着用して下さい。
  • 1週間以内に抜糸します。完全に落ち着くのは2〜3ヶ月後位です。
  • 超音波法の場合は約1cm程度の傷跡です。
  • 傷跡を気にされる方や若い女性は超音波吸引法をおすすめします。
  • 当日、車を運転する事は出来ません。
  • 薬品等に対してアレルギー体質的、異常のある方は前もって申し出て下さい。
  • 超音波法は超音波で皮下の汗腺(アポクリン腺・エクリン腺)を破壊し汗腺を取り除く方法であり、新しい手術法です。さらにわきの中央部をハサミで剪除します。
  • 稀にですが、切開法も超音波法も血腫を作ったりする事があります。圧迫を充分にしますが、それでも血腫が出来た時少し切開線をのばし血腫除去をする場合があります。

ボトックスによるワキの多汗治療法

 ボトックス注射は最近欧米を中心に顔の小じわ取り大流行している治療法です。1920年、A型ボツリヌス毒素を精製して作られ、1994年、米国最高機密プロジェクト等が猿の実験に用いております。
 医療用としては1960年、斜視の治療に使用されたのが初めてです。その後、目の周りの痙攣治療等にも応用されてきましたが、その中の一部の女性から「目の周りの小じわもなくなってきた」と喜びの声があがりました。1987年当時、米国では毒でしわを取った女性等と紹介されております。
 1997年、瞼の痙攣に頻回に使用され現在でも眼科医がその方面の治療として広く利用価値があると評価しております。2002年4月、米国FDAで正式に認可が下りています。


ボトックスの利用法

 美容外科におけるボトックスの利用法は基本的に3つです。
  1. 加齢に対する小皺取り⇒眉間の縦じわ、額の横じわ、カラスの足跡に対する治療

  2. 形を変える⇒眉毛の上げ下げ、下顎部のエラ、ふくらみ取り、口角をあげる作用等

  3. 機能的に影響を与える⇒わきの多汗症、皮脂腺分泌抑制

 当院ではすでに1.2は実績を積み上げ、多くの患者さんに喜ばれております。

ワキの多汗の治療法
ボトックスがなぜワキの多汗に効くのか

 多汗の源は交感神経刺激によるエクリン腺の分泌が激しく起こる為になされます。そしてこのエクリン腺は乾きにくいと云う特徴があり、女性の下着をいつまでも汚し続けるという結果になります。
 エクリン腺はワキなどに多く、真皮の深い部分にありますが、アセチルコリンという神経伝達物質を交感神経から受けております。
「ボトックス」はポリペプチドという分泌物を発し、このアセチルコリンを阻害するのです。阻害されたアセチルコリンはどんな交感神経刺激作用が起こってもワキの多汗を誘発しなくなる訳です。

  • 1回の注射で約1年位の持続性があります。(個人差あり)
  • 注射の回数を増やすとボトックスを打つ間隔が延びてきます。
  • 両わき同時に注射せず、片側から打ち、その効果判定を見て反対側を打ちます。
  • 「副作用」は注射時の痛みと稀に起こる内出血のみです。
  • 次のような方は効果が薄いかあまり期待できません。
    ● 肥満、閉経、薬物使用(抗うつ病など)
    ● 低血糖症、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫
    ● 脳卒中、自律神経失調症など
  • 料金はボトックス単独では次の通りです。
    両脇で1回 94,500円 です。
    追加料金(2週間以内) 10,500円(片脇で)
    次回希望する場合は1年以上休んで頂き、多汗の状態を観察してから医師と相談して下さい。
  • ボトックスと脱毛の併用も行なっております。
    ※脱毛 94,500円 (針代別) とのコンビネーションの場合はボトックスの料金が31,500円割引になります。
  • 当院のボトックスはアラガン社製を使用しております。
  • 衣服の臭い消し : イオンクリア 1,500円 (税込み)もございます。


ボトックス注入部位


イオンクリア
わきの多汗と脱毛(コンビネーションU)

 当院ではボトックス単独でもワキの多汗治療を行なっております。そしてボトックス治療のおかげで、これまでワキの多汗治療(外科手術など)のリスク解決が計られたと思っております。
 また、ワキの多汗は当然、エチケットやおしゃれなど延長線で捉えられますので、脱毛との併用を視野に入れられる方がおられます。その為、今回脱毛とボトックスを併用した、いわゆる当院独自のコンビネーションUをお届けいたします。
 料金を含め施術に関する基本的部分を記述しておきましょう。

料金表
わきコンビネーションU(針脱毛とボトックス)
                     脱毛針一括10本

1回目針脱毛 カミソリ後伸ばして2週間後
1回目針脱毛後2週間 ボトックス1回目(片側)
¥137,025
¥31,500
2回目針脱毛 1回目よりそのまま伸ばして1ヵ月後
2回目針脱毛後2週間 ボトックス1回目(片側)
¥75,600
¥31,500
3回目針脱毛 2回目よりそのまま伸ばして2ヵ月後 ¥47,250
4回目針脱毛 3回目よりそのまま伸ばして2ヵ月後 ¥14,175
5回目針脱毛 4回目よりそのまま伸ばして2ヵ月後
5回目針脱毛後2週間 ボトックス2回目(片側)
その後2週間 ボトックス2回目(片側)
¥14,175
¥26,250
¥26,250
6回目針脱毛 5回目よりそのまま伸ばして2週間後 ¥14,175

手術(治療法)の過程

 一般的にワキガの手術は切開法か小さい傷痕で行なう超音波吸引法か決めた後、局所麻酔で行います。手術が終ったら右図の如く両わきに圧迫包帯を巻き、帰宅します。これは術後の出血を押さえる為ですが、翌日その圧迫を除去し、軟膏療法に変更します。その頃から(つまり翌日頃)入浴が許可されます。術後1週間〜10日目位にかけて糸をとります。状態によってその後も軟膏療法を続ける方もいますが、大方はその時点で治療が終ります。但しわきの下なので2〜3ヵ月は色素沈着が残ったり、ややひきつれがある方もでますが、次第に消褪して参ります。わき毛は部分的に残りますので御希望の女性は当院では低価格(1回1万位)で6ヵ月後、レーザー脱毛をサービスさせて頂いております。御希望の方は申し出て下さい。



術後の合併症

 従来のタイオーバー法やダブルタイオーバー法は術後の痛みが強く、わきの動きに制限が出ますので当院では枕木法を行なっております。(右図参照)

手術に伴う副作用を合併症と云います。通常2つです。ひとつは血腫と云いまして、術後出血の為に生じる血の硬まりです。少し術後経過が落ち着いた頃除去しております。
 もうひとつは小さいオデキみたいなものが生じる方がおります。毛穴からの感染や汚れによって生じるアテローム(とうふのかーし)の発生です。このような場合小切開を加える事によって治療して参りますので御安心下さい。


脱毛でワキガは治るか

 針脱毛やレーザー脱毛などによってワキガは治りません。それは前に述べたように皮下においては汗腺の部分と毛根の部分が別々になっているからです。但し毛深い方は脱毛等によって常にわきの下が湿っている状態から開放される事はあり、その意味では針脱毛などによってスッキリなさる方がおられるかも知れません。

薬物療法

 ワキガの治療はすぐ手術に踏み切るのではなく、当然、薬物療法(塗り薬など)を行なってみるべきでしょう。当院では手術が主体ですが、薬など薬物療法は通常皮膚科で行なわれておりました。然し最近では薬屋さんや化粧品屋さんでエイトフォ・バン・クリスタル・カレン・デオドラントスプレー・セレックス等色々な薬が発売され、手軽に手に入ります。これは制汗作用と制臭作用があり一般的に良く効きます。長期に使用するとかぶれたりする事もあるので注意が必要ですが、薬などの使用をみてその良否を判断後、手術療法にするかどうか御決心下さった方がベターと云えます。


ま と め
  • わきの臭いで悩まれる方が大切なものは治療法の選択であります。
  • 特に臭いを主訴とする患者さんの訴えを客観的にとらえて治療法の選択をする必要があります。
  • その為には、わきが病態の把握と共に他科との連携が必要な時があります。
  • 手術に関しましては、当院では超音波吸引法と切開式皮下組織掻爬術(剪除法)を用いております。
  • 最大の合併症は皮下血管網を破壊する「血腫」形成で予防の為には止血を充分しますが、臨床的に甚だ困難な時も多いです。
  • その為、我々は独自の術後圧迫法として枕木法(仮称)なるものを考案し、術後固定に必須のものとしました。術後の痛みの軽減、腋窩の運動域拡大の利点があります。
  • この事によって血腫形成は大幅に減少し、かつ術後止血を認めたとしても1部に限局し臨床的に有意義であると思われました。