2012年の学会報告
秋の臨床形成美容外科医会は滋賀県大津市のロイヤルオークホテルにて開催されました。幹事は我々の歌姫と云われている烏丸姉小路クリニックの林寛子先生でした。メインテーマはBiotechnologyのup to dateと云う事でPRPにb FGFを入れたらどのような効果があるのか?京都大学の丸山晃先生が血管系への影響などお話になりましたし、耳介軟骨の培養移植で矢永クリニックの矢永博子先生は素晴らしい臨床結果をご報告されました。その他、市田先生、小住先生、亀井先生、林先生などから経験に基づいた臨床家としての実績を述べられ、フランクな会合を盛り上げて下さり、大変役に立ちました。私は4題、少し欲張って出しました。
美容外科学会の終了した翌々日、カナダの美容外科医スウィスト先生のお話しを聞きました。マーベラスビューティージャパンの主催ですが、ここでも座長を引き受けざるを得ず、美しさに対する自分の意見を述べ、スウィスト先生や古山先生と意見交換をしまし。スウィスト先生の技術で感嘆し強く感じたのは痛くないヒアルロン酸の打ち方や効果を出すポイントを具体的に示された事です。結果が出てモニターの方も喜んでおりビックリした。先生方と懇親会の写真と懇親会会場近くの新しい東京駅の写真をお見せしましょう。
学会は2日間ではあるが、忙しく各会場を歩き廻ってみました。年々参加者がふくれ上がり、盛況でした。私は「日本人に適した美容外科手術、上眼瞼」の座長をさせて頂いたが、座長が遅刻してしまい、演者の先生にご迷惑をお掛けしました。隣の会場での講演会を聞いていたからです。学会時の懇親会の写真を載せてみます。
9月15・16・17日の3日間、ハワイ大学解剖教室のご協力を得てFresh cadaverを用いての解剖実習をさせて頂きました。ご献体を頂いた尊い方々に深い哀悼と感謝の念を持ち、この勉強を後世の方々の病気治療に役立てていきたいと念じております。コーディネーターは宇津木先生と一瀬先生でした。一日目は講義、二日目はハワイ大学で学ばれている先生方からの説明と手術手技、三日目は自分達で直接手に触れて筋肉、神経、臓器等々への理解でした。写真撮影など一部許されておりましたので記憶とメモ書きが頼りでしたが、前もって解剖図の細かい点を頭に叩き込んで参加しておりましたのでその点は容易でした。何事も周到な準備が必要である事が分かります。熱心な方々ばかりであり、中々昼休み時間も惜しんで取り組んでおありましたので長い期間、臨床を休んでしまいましたが、再度、沖縄に帰って充満した気持ちで患者さんの治療に当たります。
国際美容医療研究会のセミナーで勉強し、私自身が少しの発表をさせて頂きました。講師は①韓国のDr. Chang, Hong-Wook, M.D.(Ami Dermatologic Clinic)②池田欣生先生(東京皮膚科形成外科)のお二人でした。①Dr. Chang先生の講演で興味を覚えたのは「水光注射」と「micro Botox」です。水光注射は数年前より韓国で流行している治療で、ヒアルロン酸とボトックスを混ぜて頬や額にメソテラピーのように打つやり方です。水光とは韓国で昔から使用されている言葉でふっくらして水々しい(?)と云う意味のようです。頬に水光注射をするとふくらみが出て肌つやが良くなると云う事でした。ボトックスとヒアルロン酸の割合や何回注射するのか?料金は?など、日本で解決しなければならない問題は多数ありますが、恐らく日本でもこれから流行するでしょう。
マイクロボトックスはボトックスの巾広い打ち方のようでした。リードファインリフトなどとの併用でより良い効果を出すと云う事ですが、頬を引っぱりあげたい方向へ打っていくと云う事でした。左図のようなボトックスの打ち方で浸透圧を利用すると云う事でしたが、これにリードファインを加えるとより有効になります。
②池田先生(右写真)は銀座で長い事、美容外科を開業され美容外科とアートをテーマにしているようです。今回はモニターさんを前にボトックスの打ち方を全国からお集まりの先生方へ講習しておりました。③私はとび入りでお二人の先生の後に「口唇周辺へのボツリヌストキシン利用」と云う題でお話ししましたが、要点は以下の通りです。
第114回日本美容外科学術集会は関西医科大学形成外科、楠本健司教授主催で七夕の日に京都で開催されました。私共はその学会に於いて、「真皮脂肪移植」を用いた法令線、マリオネットの改善法並びに鼻のトラブル回避への応用や厚い唇を作る為に利用したケースなどをご報告致しました。特に法令線は鼻腔内から用いるべく示査し、マリオネットラインには口唇粘膜部を切開。出来るだけ傷跡を目立たないようにすれば厚みのある自家組織の移植が可能である事を述べさせていただきました。
年2回開催される沖縄県医学会総会、夏の部分に今回も我々は「顔のシミ治療に於ける我々の課題(特に低出力レーザーを中心にして)」と云う題にて発表させて頂きました。ポイントは2つです。①沖縄の女性のシミは種々なるシミの混ざり合いがあって診断をしっかりしてから治療に入るべきである事。②ふたつめは低出力レーザーの使い方です。これ等は行き当たりばったりの治療ではリスクを発生しやすいからです。又、シミ治療はEMBが得られにくいこれからの治療方法に混乱を生じる恐れが強いと思います。
那覇市医師会館ホールにてgid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会主催のフォーラムに参加して参りました。性別適合手術について講師の難波祐三郎先生の座長を以前から頼まれており、そのように準備をしていたのですが、急の用が出来ましたので結局、新城憲先生に座長を代わって頂きました。最後の方のみお話しをお聞きしましたが、結局、大方に聞きそびれてしまい2次会(写真)の席で少しくお話しをお伺い致しました。
臨形と略し全国の形成外科出身美容外科医の集いです。年2回開催されまして春は東京です。今回の幹事は関谷秀一先生でした。東京名誉教授、福田先生の「きれいな縫合創を目指して」国立東大天文台の三好先生による「ブラックホールをみる(見えるの?)」の特別講演後に私は2題報告しました。「当院の脱毛の歴史と現況」これは24年間、沖縄女性の脱毛を続けてきた実績とやり方、とくに針脱毛とレーザー脱毛のコンビネーション脱毛とブラジリアン脱毛と称するVIO脱毛の極意を述べました。もう一点は「当院の基本的シミ治療」と題して沖縄の方々の色の黒さの特徴と基本的治療方法、特に低出力レーザーによるシミ治療の効果を述べました。
第1部として神田美容外科形成外科の征矢野進一先生がヒアルロン酸、コラーゲンなどの顔面に於ける注射療法を述べていました。日本で数多くの症例をもっておられる先生なので注射のコツなど詳細に講演しておりました。第2部は杉野、鈴木、出口、清水、古山、5人の先生方が「スレッドリフトの適応とコツ」をそれぞれの立場から発表しておりました。アプトス、ウルトラV、シルエットスーチャー、ケーブルスーチャーなどの特徴を述べられましたが、結局、併用療法をしなければいけないと云う結論になっております。RF(ラジオ波)やエコーなどによる引き締めにはお話しが及ばないのは残念でした。当院では顔のしわとり非手術方法は
第55回日本形成外科学会に参加、東京のホテルニューオータニにて開催されました。勉強会とは云え1日座って発表をお聞きしておりますとさすがにお尻が痛くなります。その中では、やはり乳房(豊胸術)に関するものに興味を覚えました。Dr Roger K. Khouriは積極的に乳房の再建や豊胸について彼の術式を発表しておりましたが、手術前にブラバーを用いて準備する事が脂肪の生着を良くするお話しや傷跡の拘縮に対してRigot tomy法を用いるなど手の外科出身医師らしい面白い講演でした。脂肪肝細胞移植に関しても発表者同士、種々討論があり、新しい息吹が聞けたと思います。その翌日、ホテルニューオータニのノロウィルス発生にはビックリしましたが、警察病院50周年パーティーも出席出来、有意義でした。
日医大の佐藤和夫先生が来県されたのを機会に「A型ボツリヌストキシン(BTX、A)の臨床経験」をディスカッションさせていただきました。下記には美容医療のボツリヌス治療と云う教科書の一部を参考にさせていただきました。
「シミ治療、幾つかの失敗例から学ぶ事」を中心に、沖縄の形成外科の先生方と話し合いました。ポイントは沖縄女性のお肌は本土の方のお肌などと違い独特のものがある。その為、もう少しお肌分類を沖縄女性に合ったものを作らねばならないのではないかなど検討しております。特に
黒くなったりのリスクが生じるケースはどのようなタイプなのか?これ等の解決を目指して話し合いをしております。
我々は「当院の部分切開法による重瞼術」と題して報告しました。内容は現在、一般的に行なわれている二重瞼の術式(切開法、埋没法、ビーズ法)の他、部分切開法と云うのがあるが、この部分切開法は全切開法と比較して小さく切開して二重を作り出す手術であります。但し定義が今ひとつはっきりしない事などもあって部分切開と云う術式の言葉がある割には判然としない点があります。その為、今回は我々が長年愛用している所のいわゆる「部分切開法」を報告し、その利点と欠点を述べさせて頂きました。当日の組織会長、征矢野先生とご一緒の写真と簡単な当院に於ける部分切開法の模式図を示しておきます。